2007年6月17日(日)14:44

EU憲法をめぐる交渉は膠着

ベルリン(AP)

ブリュッセルのEU首脳会議を数日後に控え、欧州憲法をめぐる交渉は暗礁に乗り上げた。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は週末、もっとも強硬に抵抗しているポーランドのレフ・カチンスキ大統領と会談を行なったが、歩み寄りは得られなかった。

「今までのところ私たちは互いの立場を譲っていない」とカチンスキ大統領はベルリン郊外のメーゼベルク宮での協議を終えて語った。しかし大統領は、木曜日に始まる首脳会議では成果を収める必要があるという認識ではメルケル首相と一致した。これより前、メルケル首相はあらためてすべてのEU加盟国に対し、欧州連合の新たな基盤条約への道を開くよう呼びかけた。そのためには全員の歩み寄りの姿勢が欠かせない、と首相は述べた。

EU議長を務めるメルケル首相は週末、すでに18ヶ国で批准された憲法に反対する国々との間で協議を重ねた。首相は金曜日の晩、オランダのヤン・ピーター・バルケネンデ首相をメーゼベルクの政府迎賓館に迎えた。土曜日にはカチンスキ大統領と、また日曜日にはチェコのミレク・トポラーネク首相と同じ迎賓館で会談を行なった。夜はルクセンブルクに向かい、ジャンクロード・ユンケル首相と会談を行なう予定である。ユンケル首相はEU憲法支持派に属している。

一方ポーランドは、基本条約の仕切り直しを決裂させると警告している。とりわけ条文で定められた決定手続きを拒否している。それによれば、EUの決定には加盟国の55パーセントかつEU総人口の65パーセントの賛成が必要とされている。しかしポーランドは人口の平方根を基にした分配率を要求しており、これにより自国の影響力の拡大を図ろうとしている。

「私は、私たちの提案する解決案がすでに歩み寄りなのだとメルケル首相に伝えた」とカチンスキ大統領は、メルケル首相との会談について、ポーランドのテレビ局TVN24で語った。協議は良い雰囲気で行なわれた。「私たちが過去の多くの協議で甘受したような、ポーランドに対する脅しや脅迫はなかった」と大統領は述べたが、それ以上具体的な非難には踏み込まなかった。

ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相は日曜日の晩、ルクセンブルクで他の加盟26ヶ国の外相と協議を行なうが、ポーランド政府の立場について完全に孤立していると評した。ポーランド以外、すでに合意した票配分をもう一度協議し直そうという国はいない、と社会民主党所属の外相はフランクフルター・ルントシャウ紙Frankfurter Rundschau に語った。私はポーランドの要求が通る可能性は「きわめて薄い」と考える、と外相は述べた。

欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は南ドイツ新聞Sueddeutsche Zeitungに、ポーランドの態度について「有益でない」と評した。「EUを危険に晒さないようお願いする」と委員長は警告した。

メルケル首相はインターネットで配信しているビデオ*の中で、新たなEU条約はEUの行動能力を確保するために欠かせないと強調した。欧州連合はいつまでも論争し合うわけにはいかない。「私たちが来週このような心構えで会議に臨むならば、私はきっと成果を得ることができると考えている」、と訴えた。

原題:Verhandlungen ueber EU-Verfassung festgefahren

訳注:メルケル首相のポッドキャストビデオは以下のURL:
http://www.bundeskanzlerin.de/nn_46996/Content/DE/Podcast/2007-06-15-Video-Podcast-zum-EU-Gipfel-Ende-Juni/2007-06-15-video-podcast-zum-europaeischen-gipfel-ende-juni.html

全文訳はこのHPに掲載:「EU首脳会議に関するメルケル首相のビデオ・ポッドキャスト」




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